税理士との打ち合わせ頻度はどの程度が適切か?

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顧問契約を結ぶ際に検討すべき事項として、どれぐらいの頻度で面談の機会を設けるかということがあるかと思います。税理士としての経験談として、以下のような事項を検討するのが良いかと思いました。一概にかくあるべきというものはないのですが、一つの考え方としてご参考にしてください。

まず、税理士との打ち合わせに何を求めるかですが大雑把に分けると以下の3点でしょうか。

①財政状態の報告・アドバイス(現状確認的なもの)

②経営アドバイス・節税アドバイス(将来的なもの)

③その他

それぞれについて検討していきます。

①財政状態の報告・アドバイス

 財政状態の現状の確認を税理士に求めることは当然かと思います。

 検討事項は主に2点です。

イ 事業者の規模感や組織構造

※以下、同一の企業という前提です。

例①:1人社長(記帳は税理士に代行依頼)の場合⇒年1回や半期に1回

税理士に記帳代行を依頼しているとはいえ、請求や費用の管理、預金の残高の把握まで一通り行っているのであれば、凡そのお金の流れを掴めているはずなので、会社のどの部分に問題が生じているかということは(原因は別として)理解していることが多いのではないでしょうか。たとえ税理士に丸投げをしていたとしても、毎月報告を求める必要はなさそうに思われます。

例②:従業員50名の会社(記帳は税理士に代行依頼)の場合⇒毎月1回

組織の分業化、権限譲渡が進み、社長の意思決定が経営的なものに集約されてくる場合は、資金の流れや預金の状況などは経理に任せることになり、社長自らがその問題点などを認識することは非常に困難であると考えられます。※逆に社長が自分で数字を把握しないといけないという場合には、組織上の問題が生じている可能性も検討する必要があるかもしれません。

例③:従業員100名の会社(記帳は自計化)の場合⇒毎月1回or四半期に1回

会社内で自計化できるようになった場合には、社長ではなく経理部長が財務の状況を把握すればよくなるため、税理士から受ける報告内容のニーズが変わってくるのではないでしょうか。例えば、税務上の留意点や経営の話などに重点が置かれるように思われます。極論、会社の参謀としての機能を税理士に求めないのであれば、打ち合わせの頻度を下げていくことも十分に考えられるかと思います。

 すなわち、同一の法人であっても、その法人の規模感やその組織状況に応じて、税理士との面談頻度は変わるべきであると考えられるということです。一般的には規模の拡大と、打ち合わせ頻度は正比例するが、一定のタイミングで税理士との打ち合わせの重要性が薄れてくれば、その頻度は減ることも考えられるかと思います。

 逆に、本当に事業創設間もないタイミングで、会計ソフトの使い方に慣れなかったりなどの事情がある場合には、最初の1年は頻度を高くといったこともあるかもしれません。ただし、次に記載する費用負担について留意が必要です。また、そのようなニーズに対応してもらえる税理士事務所を探すことも重要であるかと思います。

ロ 費用負担

 当然ですが、打ち合わせ頻度と顧問報酬は正比例することになります。

 特に創業初期などの費用負担を抑えたいタイミングでは、固定費となる税理士報酬できるだけ抑えたいというニーズがあるかと思います。最低限の報酬で済ませる場合には、打ち合わせの頻度を減らすことで顧問報酬を抑えられるでしょう。

②経営等のアドバイス

 前提として、税理士は税の専門家であり、経営アドバイスの専門家ではございません。税理士の提供できる経営上のアドバイスの根幹にあるものは、これまでの顧問業務に裏打ちされた経験則によるところが大きいように感じています。(お恥ずかしい話ですが、少なくとも私はそうでした)経験上、一従業員がクライアントの経営方針にアドバイスを出すというのは少し気が引けるのです。ただし、税理士だから伝えられる経営上のアドバイスがあるというのも事実であるとは思います。(財務分析的な話や資金調達の話等)

 上記の前提の上で、それでも税理士に経営上のアドバイスを求めるのであれば、打ち合わせの頻度は増やすべきです。PDSサイクルを回すのに年に1回ではあまりにも遅すぎます。

 節税アドバイスについては、節税アドバイスが欲しいという理由だけでの打ち合わせ頻度を上げることはお勧めしません。こちらについては別の記事で触れさせていただきます。

③その他

 補助金の相談を受けてほしいなどのスポット的な相談は、一般的な顧問契約とは別契約となることが一般的であるかと思います。勿論、打ち合わせ頻度や顧問報酬は増加します。

《まとめ》

 税理士との面談回数が増えるほど、皆様の本業にかける時間が減少することになります。会社の成長ステージ、ニーズに合わせた付き合い方を模索することが重要かと考えます。また、ニーズを満たしてくれる強みを有した税理士を選択することも肝要です。