税理士は中小企業診断士試験に有利?-①1次試験について
様々なホームページでよく“税理士と中小企業診断士のダブルライセンスは相性良好”、
“税理士は中小企業診断士試験に有利”と書かれているのを目にします。
実際にダブルライセンスとして働いているわけではまだないので前者の是非は分かりませんが、
後者については実感としてお伝えできることがあるかなと思ったのが今回の記事に繋がっています。
今回は、あまり参考にはならないとは思いますが、一次試験の科目ごとの感想を書き連ねていきます。
各科目の内容について、税理士業務との関連性含めて記載していきます。
なお、記載順は私の通っていた専門学校のカリキュラム順になります。
1.企業経営理論:組織の在り方(組織、人材等)やマーケティング手法
私が診断士を勉強したいと志した科目です。特に組織の在り方について、
会社の社長と話ができるようになると深いお付き合いができるのかなというのがスタートでした。
税理士業務との関連性については、本来はあるべき内容のはずです。
ただ、大半の税理士(少なくとも私)は避けてきた内容だろうと思います。
なお、一次試験において、私は最後までこの科目が苦手でした。
学ぶことが抽象的であること以上に、一次試験の試験問題が難解な間違い探しの様相が強く、対応しきれなかったためです。
二次試験の範囲にも含まれていますが、こちらは一次試験ほど苦労しませんでした。あくまで相対的にですが。
2.財務会計(BS/PL・財務分析・CVP・意思決定会計等)
税理士なので楽勝…といいたいところですが、会計だけではなく多岐に渡っていろいろなことを
学ぶので、勉強なしで乗り越えられるほど甘い試験ではないと思います。
ただし、税理士は受験免除ではなく受験して得点源とすることを推奨します。理由は、
①二次試験にもこの分野の論点が出るため
②他受験者のボトルネックになっている科目のため、安定してある程度点数を取りやすい
(作問者側も大量の足切りは行いたくないと考えられる)
ためです。
3.運営管理:工場の生産管理、小売業のオペレーション管理等
税理士には縁もゆかりもない世界です。とはいえ、二次試験の出題範囲にもなっているため、
勉強をおろそかにすることはできません。ただ、特に小売業の分野については、
スーパーのものの並べ方とか、全体の動線とか考えられているのだなと気づかされることが多かったです。
覚えることが多いのも事実ですが、言われりゃそうだを増やしていくことで得点が安定した科目でもあります。
4.経済学
大学で経済学を学んでいた人は楽勝なのだろうなと羨ましく思っていました。
勿論税理士業務には全く関係ないです。
個人的には、この科目は“当たり前“をどのように小難しく理論立てるかというものだと思って
勉強していて、それがピタッとはまったのであまり苦労した記憶はなかったかなと思います。
5.経営情報システム・経営法務・中小企業経営
全てまとめたのは、これらの科目が凡そ暗記科目であるためです。
知識を何とか詰め込むしかない科目になります。
税理士として、一番なじみがないのは情報システムでした。
経営法務は民法・会社法・知的財産権といった内容である程度聞き知った内容、
中小企業経営は補助金の話や交際費の損金不算入など、税理士業務で関連することを体験しています。
ところが、経営情報システムは本当にはじめましての世界でした。
ITパスポートなどを勉強していると有利だそうです。
それなりに時間をかけて知識を詰め込みましたが、
試験問題も初めましてのものがたくさん出てきて匙を投げそうになったことを覚えています。
《結論》
税理士にとって有利なのは財務会計だけで残りの6科目は基本初見となるため、
それなりに覚悟をもって試験勉強に臨みましょう。
6.4科目程度を勉強すると捉えれば有利ですが、逆に言うとそれぐらいの有利しかないとも言えます。
言い換えると、財務会計を何とかすれば税理士と他の受験者との有意な差は存在しないということです。
とはいえ、令和5年度の自営業の税理士・公認会計の一次試験の合格率(試験合格者数/申込者数)は約27%、
全体の(試験合格者数/申込者数)は21.2%とのこと、優位性はあったのだろうなあというのが正直な感想です。
自営業者限定なので、時間的猶予を作りやすいということもあるとは思います。
ちなみに私は当時独立前のため、“民間企業勤務”に該当しています。
次回は二次試験について思うがままに書いていきます。